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日常生活中に起こる慢性的な痛み

首の痛みとは

頭を支える頸部の筋肉のこわばり、緊張が強まると、首、肩、背中のこり、頭重感、頭痛、めまい、吐き気などの不定愁訴が強まってきます。

症状

首、肩、背中に鈍痛を感じます。そのような症状が長年続くと、頸椎症や神経根症などに移行する場合があります。

どんなタイプに多い?

長時間の立ち仕事や座り仕事をする人に多くみられます。また、姿勢が悪く猫背になっている人や運動をあまりされない人は要注意です。

治療

頭を支える頸部の筋肉、肩背中の筋肉の緊張を緩和させるような理学療法を行います。



四十肩、五十肩とは

肩周囲の筋、腱、靭帯が日常生活やスポーツなどの負担、加齢による変性によって、損傷したり、炎症を起こしたりします。下の肩のエコー画像は、棘上筋が変性して、筋肉内に弱い石灰化が認められます。↓ また、棘上筋の付着部の骨の表面が、不整になっています。

症状

肩を動かす動作が困難となります。特に高いところに手を伸ばす、体の後ろに手を回すなどの動作をすると痛みが出現します。また、症状が悪化すると、腕を少しでも動かすことや横になって休むことも困難となります。

どんなタイプに多い?

肩周囲の筋肉が硬く、関節の動きが悪い人に多くみられます。運動不足や長時間同じ姿勢で過ごす人は要注意です。

治療

超音波検査を実施します。痛みがひどく、動かすことが困難な時は、腕を三角巾で固定したり、体に密着させたりして安静を保ちます。強い痛みが緩和されてきたら、肩周囲の理学療法を行い、肩の動きを良くしていきます。


左肩、棘上筋のエコー画像
左肩、棘上筋のエコー画像

肘の痛み(上腕骨外側上顆炎)とは

テニス、(グランド)ゴルフ肘とも言われますが、日常生活でもよく起こる症状です。肘から前腕に負担がかかると、肘の外側(上顆)から手首にかけての筋肉や筋膜が緊張し、その状態を長期間放置すると炎症が起こります。下の右肘のエコー画像では、筋肉の付着部の変性により弱い石灰化、骨棘が認められました。↓

症状

雑巾を絞る、キャップを開ける、物を持つ、指を伸ばすなどをすると痛みが出現します。

どんなタイプに多い?

拭き掃除や食器を洗う仕事、事務やパソコンの入力、テニスや(グランド)ゴルフなどをされる人に多くみられます。

治療

超音波検査を実施します。痛みがひどい時はアイシングを行います。同時に筋肉の緊張を和らげる理学療法を実施します。


右肘、上腕骨外側上顆炎のエコー画像
右肘、上腕骨外側上顆炎のエコー画像

手首の痛み、手根管症候群とは

手関節の軟骨、筋、腱、靭帯、神経が使い過ぎや加齢によって負担がかかり、手首や手指の運動が困難となります。

症状

手関節の上下回旋運動、手指の把握動作によって痛みが出現します。手根管症候群は、手首を通る神経が使い過ぎによって炎症が起こり、しびれや知覚鈍麻、痛みが出現します。下のエコー画像は、左画面の尺骨神経の直径が(1)2.6mm(2)4.5mm,右の尺骨神経は正常で(3)2.1mm(4)3.8mmで、右の方が長年負担がかかり太くなっています。

どんなタイプに多い?

手を酷使する仕事や細かな作業をする趣味などを長年されている人に多くみられます。手根管症候群は、ホルモンバランスの乱れによる妊娠出産期や更年期の女性、神経の感受性が高まる糖尿病や甲状腺の病気、アミロイドというたんぱく質が靭帯や腱に付着し神経を圧迫することがある長期間の人工透析患者などにもみられます。

治療

手の使い過ぎによる悪化を防ぐため、安静に努めます。また、手関節の筋、腱、靭帯を柔軟にし、手首の負担を軽減させる理学療法を行います。


右手根管症候群(尺骨神経麻痺)エコー画像
右手根管症候群(尺骨神経麻痺)エコー画像
左手根管(正常)エコー画像
左手根管(正常)エコー画像

腱鞘炎、ばね指とは

仕事や家事により使いすぎて、手指を曲げ伸ばしする腱が太くなり、痛みや引っ掛かりが起こります。親指、中指、薬指に多くみられます。下のエコー画像は、左中指の腱鞘炎です。赤丸で囲んだ部分が人差し指や薬指と比べて太くなっています。赤丸内側の黒い部分は、炎症により腱鞘内に浮腫が起こっています。

症状

太くなった腱を触ると固く盛り上がり、強く押すと炎症により痛みがあります。深く曲げた時、引っかかった指を無理に伸ばそうとすると、急にカクッと伸びることから「ばね指」と言います。

どんなタイプに多い?

手を酷使する仕事や家事、細かな作業をする趣味などを長期間されている人に多くみられます。

治療

超音波検査を実施します。症状が悪化している場合は、テーピングなどを使って患部の曲げ伸ばしをしない様に努めます。太くなった腱を柔軟にする理学療法を行います。


左中指屈筋腱の腱鞘炎エコー画像
左中指屈筋腱の腱鞘炎エコー画像

腰痛とは

上半身を支える筋、筋膜が過度な緊張により強く収縮し、筋肉やその周囲の神経を圧迫したり、炎症を起こしたりして痛みが出現します。

症状

日常生活の負担やスポーツなどの疲労が蓄積されると、中腰や同じ姿勢を続けたり、立ったり座ったりする瞬間に痛みが出現します。そのような状態が長期間続くと、腰椎が狭くなり、椎間板が神経を圧迫したり神経の通り道が狭められたりして痺れや痛みの増強、知覚の減弱がみられることがあります。

どんなタイプに多い?

長時間の立ち仕事や座り仕事をする人に多くみられます。また、姿勢が悪く猫背になっている人や運動をあまりされない人は要注意です。

治療

腰周囲の筋肉が張って鈍痛がある人は、将来、神経の症状を起こさないように予防しなければなりません。予防には、ウォーキングや軽い運動、ストレッチなどが有効です。当院では、腰周囲を柔軟にする理学療法を行っております。



坐骨神経痛とは

坐骨神経痛は臀部の筋肉が硬くなることにより坐骨神経を圧迫、狭窄し神経痛が出現します。

症状

臀部の筋肉が硬くなり過ぎると、長時間の同じ姿勢で鈍痛や下肢への放散痛、痺れなどが出現します。

どんなタイプに多い?

長時間の立ち仕事や座り仕事をする人にみられます。また、姿勢が悪い人や運動をあまりされない人、股関節や周囲の筋肉が硬い人は要注意です。

治療

日常生活では、同じ姿勢を長時間しないように努めましょう。また、ウォーキングや軽い運動、ストレッチなどが有効です。股関節周囲の柔軟性を高め、坐骨神経への負担を軽減する理学療法を行います。



坐骨、尾骨(尾てい骨)の痛みとは

いすに(浅く)座る姿勢を長時間続けると、坐骨や尾骨(尾てい骨)が刺激されて痛みが起こります。

症状

上半身の体重が、いすと接している坐骨や尾骨(尾てい骨)にかかります。坐骨には、ももの裏の筋肉(ハムストリング)が付着しているので、次第にお尻からももの裏にかけて鈍痛が起こります。

どんなタイプに多い?

長時間の座り仕事をする人にみられます。また、姿勢が悪い人や運動をあまりされない人、股関節、ももの筋肉が硬い人は要注意です。

治療

座る時間や座り方を改善したり、クッションなどで椅子への負担を軽減したりします。



膝関節症とは

日常生活の負担や体重増加などが長年影響して、膝の軟骨や半月板が摩耗します。関節周囲に炎症が起き、痛みが出現します。

症状

膝の関節が腫れて熱を感じるときは、水(関節液)が貯留していると思われます。そのような症状がある時は、屈伸運動やいすから立ち上がることが痛みで困難となります。右下のエコー画像は、黒く映っている部分に水(関節液)が溜まっています。関節内が圧迫されて、立ち上がる際はかなり痛みを伴います。

どんなタイプに多い?

長年、立ち仕事をしている人、太っている人に多くみられます。また、姿勢が悪く、体の硬い人や運動をあまりされない人は要注意です。

治療

超音波検査を実施します。膝の熱が高く、炎症がある場合は、冷やすことが重要です。膝の痛みは、お風呂で温めると良くなると思われますが、逆効果です。痛みが軽減するまで、運動なども中止します。膝周囲の筋肉の柔軟性を高め、炎症が早期に減少する理学療法を行います。


右膝蓋上嚢(正常)エコー画像
右膝蓋上嚢(正常)エコー画像
左膝蓋上嚢に関節液貯留(患部)エコー画像
左膝蓋上嚢に関節液貯留(患部)エコー画像

アキレス腱、踵の痛みとは

歩行や階段昇降などで、アキレス腱や踵に負担がかかると腫れて痛みが出現します。下のエコー画像は、左右のアキレス腱が腫れて、炎症を起こしています。(赤線内側の青やオレンジ色の点は、炎症反応を示しています)

症状

アキレス腱や踵をつまんだり押したりすると痛みます。また、つま先立ちやランニングなどで痛みが増強します。

どんなタイプに多い?

ウォーキングや山歩き、(トレイル)ランニングなどの運動を日課にしている人に多くみられます。また、膝や足首が硬く、ふくらはぎの筋肉がパンパンに張っている人は要注意です。

治療

超音波検査を実施します。痛みが強い時は、運動を一時休止します。同時に筋や柔軟性を高めるストレッチや理学療法を行います。


右アキレス腱炎のエコー画像
右アキレス腱炎のエコー画像
左アキレス腱炎のエコー画像
左アキレス腱炎のエコー画像

足裏の痛み、足底腱膜炎とは

足の裏には、膜のように薄く幅広い腱が、かかとの骨から足指の付け根まで張っています。足の土踏まずは、弓状(アーチ)になり、アーチを弓の弦のようにピンと張って支えているのが、足底筋膜です。足底筋膜は、ウォーキングやランニングなどの運動、四十歳代以降になると加齢により、古いゴム管のようにひびが入り、炎症を起こします。それが痛みの原因となり、足裏全体が疲れやすく、長時間の立ち仕事やウォーキング、マラソンなどで鈍痛が出現します。

症状

足に加重すると疲れやすく、足の裏を押すと硬く、痛みがあります。 どんなタイプに多い? ウォーキングや山歩き、(トレイル)ランニングなどの運動を日課にしている人や革靴で歩行するサラリーマンに多くみられます。また、ふくらはぎの筋肉や足の関節、足底腱膜が硬くなっている人、つま先歩きやペタペタ音を鳴らして歩く人は要注意です。

治療

つま先歩きやペタペタ音を鳴らす歩行をする人は、歩き方を改善します。また、筋肉や足底腱膜が硬い人は、柔軟性を高める理学療法を行います。


足底腱膜炎を起こした踵の骨(棘)
足底腱膜炎を起こした踵の骨(棘)

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